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インタビュー kiritsuaiko個展「ここに在る環」

2021年のCOYAMA GALLERYの展示。
スタートを切るのは、アクセサリーや紙雑貨を制作しているkiritsuaikoさんです。
COYAMAのカフェスペースに並ぶ、プラスチックでできた恐竜のピアスを見たことがある人も
いるのではないでしょうか?物質や生きものの「循環」をモチーフに活動するkiritsuさんに、
作品のテーマや個展について伺いました。

 

 

kiritsuaiko 個展「ここに在る環」

2021年1月9日~2月7日

環境の繋がりをモチーフにしたアクセサリーや紙雑貨を制作しているkiritsuaikoさんの、活動10年目の展示。
「ここにはわたしたちの環(わ)がある」という想いをタイトルに込め、里山・生態系・地域・恐竜などの
古生物をモチーフにした作品やコラボレーション作品などを中心に、展示と販売を行います。

◯身の回りのすべてのものはつながっている

kiritsuaikoさんは、群馬出身。現在は群馬県立自然史博物館の解説員として働きながら作品を発表しています。
生み出しているアクセサリーや紙雑貨はパステル調で、楽しげでやさしい雰囲気。
そこには、kiritsuさんの物腰のやわらかさが現れているよう。

作品は主に、恐竜や動物、植物がモチーフで、「循環」をテーマにしています。

例えば、プラスチックでできた恐竜のピアス。
中生代に生きていた恐竜は、死んだ時の条件により、化石になったり石油になったりします。

化石は掘り出されて研究に使われたり鑑賞されたりする一方、石油は採掘されて、燃料やプラスチックに変身。
kiritsuさんの作品では、プラスチックが恐竜の形に切り出され、アクセサリーになっています。
ここには、物質としての循環が表現されているのです。

生態系の循環を表現する作品も、もちろん制作されています。樹木と「菌根菌」と呼ばれる
きのこの一つのタイプをイメージした「菌根菌ブローチ」(DM参照)は、光合成で生まれた
炭素化合物と土の中から取り出したリンを交換し合う両者の共生関係をモチーフにしています。

「身の回りにあるすべてのものは、長い年月を経て自然が生み出したものです。そしてもちろん、
自然界では生きもの同士のつながりも。物質や生態系の『循環』というのは、わたしのなかの
大きなテーマであり、自然の摂理であり、地球で暮らしている以上とても大切なことだと思っています」

◯kirituaikoとして作り出す紙雑貨やアクセサリー、コラボレーション

kiritsuさんは、大学で美術史やアートマネジメントやデザインを勉強し、大学院へ進学。
卒業時には、美術以外の視野も持ちたいという考えから、自然史博物館で働く選択をしました。

制作活動は在学時から行っていて、現在も本名の「近藤愛子」名義でインスタレーションの作品を発表しています。
しかしなぜ、名義を2つ持つことにしたのでしょうか?

「美術作品を発表していたものの、もう一つ別の活動をしたいなと考えたんです。kiritsuという名前は、
“当たり前のように制作を続けたい”という想いを込めて、学校の授業の号令である『起立、注目、礼』から
取っています。最初は紙雑貨からで、しおりなどを作ることから始め、あとからアクセサリーも始めました」

アクセサリーや紙雑貨で表現するのは、たくさんの人に身の回りのものはすべて循環していると感じて欲しいから。

「もちろん押し付けがましくならないように、使って楽しいものを心がけながら。『近藤愛子』名義の
インスタレーション作品でも循環を表現していましたが、『kiritsuaiko』では同じテーマを日常的な
アイテムに落とし込むことで、もっと身近に感じられるきっかけになればと思っています」

そして、もう一つのkiritsuさんならではの活動は、コラボレーションです。現在コラボしているのは、
ほかの作家さんやカフェなど7名(団体)と多数。その一つである「佐久市こども未来館」では、
“商品開発部”と称して子どもたちとともに雑貨を考案・商品化するワークショップを行っています。

また、長野県の画材額縁専門店「白秀堂」とのコラボでは、廃棄をなくすような仕組みを意識したそうです。
額縁と作品の間に差し込まれる「額装マット」の切り抜かれた部分を再利用し、アクセサリーの材料に活用。
形も色合わせもシンプルにデザインしたシリーズを展開すると同時に、「自分でお絵かきができる
アクセサリーシリーズ」も考案しています。さらにそれをワークショップに使うことで、
人とのコラボレーションがどんどん生まれる仕組みも生まれました。

「コラボレーションさせていただく方とわたし自身の要素や想いを合わせて、なにかを生み出すというのは、
新しいところへ向かっているような感覚もあってとても楽しいです。たくさんのインスピレーションをいただいています」

◯個展「ここに在る環」 に込めた想い

今回のkiritsuさんの個展「ここに在る環(わ)」でも、もちろん「循環」が表現されています。

「『手に取ることのできる、手に入れることができる循環』という意味を込めました。個展では、
わたしが作ってきたさまざまな紙雑貨やアクセサリーを展示したいと考えています。『欲しい』と思った
アイテムは気軽に手にとっていただき、日常的に使っていただければと思います。そして良ければ、
そのときに生きものやものの循環を思い出してくれたら嬉しいです」

展示風景全体を見ればkiritsuさん自身が感じてきた「循環のかたち」が、アイテムを手にとればその
生き物や素材が経てきた「循環そのもの」が見えるかもしれません。

コラボという点では、個展限定の“本まわりのアクセサリー”も用意してくださるそうです。

「COYAMAの古民家を改装されている感じも、ギャラリー付きのブックカフェという雰囲気もとても好き」と言うkiritsuさんは、COYAMAでしか味わえない時間の流れを作り出してくれるに違いありません。

written by 松本麻美